インフラエンジニアが今取るべき資格はこれ!

今、コロナの影響で仕事が激減している人が増えています。また、保育園の登園自粛要請や小学校・中学校の休校などもあり、その保護者にあたる方が会社を休んでいるというケースも多く見受けられます。また、新入社員として今年度会社に入社した方はいきなり自宅待機などの対応もあり自宅で暇を持て余しているという人もいるかもしれません。あと1か月弱(で落ち着くと信じて)のこの時期を前向きに過ごすのも、ただただ悲観して過ごすのも自分次第です。

今回は、こんな時期だからこそ自分のスキルアップのための時間にしてみることを提案したいと思います。その中でも本記事ではインフラエンジニアが取るべき資格について徹底的に解説します。エンジニアとして就職を目指している方もぜひ読んでください。

インフラエンジニアとは

まずそもそもインフラエンジニアの定義から確認したいと思います。

インフラとはインフラストラクチャー(Infrastructure)の略語ですが、IT業界でなくとも電気や水道など産業や生活を支える基盤を指す言葉です。同じくインフラエンジニアはITインフラを支える基盤的役割を果たすエンジニアのことを指します。

しかし、実はインフラエンジニアと一言で言っても会社や人によって指す職種が曖昧な場合がありますので念のため整理しておきます。

インフラエンジニアとは大きく言うと次の2つの職種を総合した名称です。

〇ネットワークエンジニア

→ネットワークの設計、構築、運用保守などを行うエンジニア

〇サーバエンジニア

→サーバの設計、構築、運用保守などを行うエンジニア

しかしこの2つ以外にもデータベースエンジニアやセキュリティエンジニアというポジションを入れて3つ~4つの職種に分けているケースもあります。データベースエンジニアやセキュリティエンジニアは個別でポジションを置いている会社とそうでない会社があるのであまりはっきりしていないのかもしれません。また、ネットワークやサーバとセキュリティ、データベースは切っても切り離せない関係ですのでそもそも明確にポジションを分ける必要がないという考えもあるかもしれません。

さて、①と②はこれまでは明確に職種が分かれていましたが、近年はクラウド化してきたことなどもありどちらか一方の知識だけでは務まらなくなってきました

私自身2年ほど前までITエンジニアの人材派遣の営業をやっていましたが、サーバもネットワークもわかる人というオーダーがこの数年間で急激に増えてきたことを体感していました。

とはいえ、大体の方はどれかに強みがある上で他の領域もカバーしているという印象です。

資格の取り方としては自分の専門分野のスキルをあげていくために資格を取るという方法と自分の専門分野以外のスキルをカバーするために資格を取るという方法があります。

どちらを選ぶのが良いかはご自身の経験やスキルにもよります。新入社員の方でこれから実務に入るという場合はやはり専門スキルを伸ばす方に力を入れた方が良いでしょう。しかし数年の経験があり、例えばこれまでネットワークエンジニアとして経験を積んできたがもう少し給料を上げたり仕事の幅を広げたりしたい、と思うのであれば自分の専門スキル以外の資格を取るべきでしょう。

では今どういった資格が人気なのか次でランキング形式で発表します。

インフラエンジニアに人気の資格ランキング

ここではインフラエンジニアの中の3つの領域にこだわらず、全体的に人気の資格をランキングにしました。多数のサイトなどで取り上げられている順にランキングしています。

1位:LPIC(エルピック)

LPICとは非営利団体のLinux Professional Instituteが実施しているLinux技術者としての技能を図る資格試験です。

日本でのサーバOSのシェアはWindowsがメインではありますが、Linuxもかなり伸びていることと何よりサーバ系の資格で言えばLPICが最大級の規模ということでお勧め且つ人気の資格です。もし、自分が触るのはWindowsサーバーなのでWindowsの資格が良いと思っている方はマイクロソフトの認定試験もありますのでご確認ください。

(https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/browse-all-certifications.aspx)

LPICは180以上の国で実施されているグローバル基準の認定資格ですので国際的にも認められている資格なのです。試験は複数の言語に翻訳されていますので日本語で試験を受けることができます。もちろん英語でも受けられます。

LPICは1~3の3段階あり、且つ3の試験は3種類あります。1~3はレベルを表していて受験自体は順不同でできますが、認定は1→2→3の順序でされます。つまり最初に3の試験で合格レベルに達していても1、2の認定資格を取得していないと3の認定資格は取得できないということです。

因みに日本での価格はいずれも1試験当たり15,000円です。(LPIC-1であれば2つの試験に合格する必要があるのでそれぞれ15,000円かかります。)

試験の具体的な内容は以下の通りです。

LPIC-1:Linux管理者

LPIC-1は2つの試験(101試験、102試験)があり、両方に合格することが必要です。

Linuxエンジニアとして1年前後働いている方であれば理解できるレベルです。HPには以下のことができる必要があると記載されています。

〇Linuxシステムのアーキテクチャを理解する。

〇X11を含むLinuxワークステーションをインストールして維持し、それをネットワーククライアントとしてセットアップします。

〇一般的なGNUやUnixコマンドを含むLinuxのコマンドラインで動作します。

〇ファイルやアクセス許可、システムセキュリティを処理する。

〇簡単なメンテナンスタスクを実行する:ユーザーのヘルプ、大規模なシステムへのユーザーの追加、バックアップと復元、シャットダウンと再起動。

(LPI https://www.lpi.org/ja/our-certifications/lpic-1-overview

LPIC-2:Linuxエンジニア

LPIC-2 は、中小規模の混在ネットワークを管理する能力を量る試験です。目安としては3年前後の実務経験レベルです。こちらも201試験および202試験の2つの試験に合格すれば資格を取得できます。

LPIC-2認定を取得するには以下のことができる必要があります。

〇Linuxカーネル、システムの起動と保守に関する一般的なタスクを含む高度なシステム管理を実行することができる。

〇ファイアウォールやVPNなどの高度なネットワーキングと認証、システムセキュリティだけでなく、ブロックストレージとファイルシステムの高度な管理を実行することができる。

〇DHCP、DNS、SSH、Webサーバー、FTP、NFS、Sambaを使用するファイルサーバー、電子メール配信などの基本的なネットワークサービスのインストールと構成。 そしてアシスタントを監督し、自動化と購入に関する管理者に助言することができる。

(LPI https://www.lpi.org/ja/our-certifications/lpic-2-overview

LPIC-3:Linux エンタープライズ・プロフェッショナル

こちらは上述の通り更に3つの専門領域の資格に分かれます。いずれかに合格するとその専門分野のLPIC-3認定が与えられます。

LPIC-3 300:Linux エンタープライズ・プロフェッショナル – 混在環境

→混在環境における企業全体のLinuxシステムの管理を対象としている試験です。

LPIC-3 303:Linuxエンタープライズ・プロフェッショナル – セキュリティ

→セキュリティに重点を置いて企業全体のLinuxシステムの管理をカバーしている試験です。

LPIC-3 304:Linuxエンタープライズ・プロフェッショナル – 仮想化とハイアベイラビリティ

→仮想化と高可用性に重点を置いて、企業全体のLinuxシステムの管理をカバーしている試験です。

サーバメインのエンジニアであればLPIC-3まで取得していると名実共にスキルがあることを認められるようになります。

因みにさらに入門編のLinux Essentialという資格もありますが、こちらはエンジニアの方がとるというよりは例えばサーバに関わる営業の方や、営業でなくともそういった会社で働く非エンジニア社員の方であれば勉強を兼ねてとっておくというのに適しています。

もしIT系で働くエンジニア以外の新入社員の方で且つ今在宅勤務などをしているような方であれば勉強もしやすいレベルなのでおすすめかと思います。

2位 シスコ技術者認定

こちらはネットワークエンジニアなら多くの人が受けている認定試験になります。

レベルは以下の表の通り、2種類各4段階あります。

ネットワークエンジニアのスキルを量るための試験は上段で、下段は今年からできたソフトウェア開発の資格です。シスコの認定資格と言えば上段のCCNA、CCNP、CCIEがあまりにも有名でしたのでソフトウェア開発の資格があることに驚かれる方もいるでしょう。2020年2月24日に資格の内容が改訂され以下の表のように変更となりました。

昨今クラウド化が進んでいることでネットワークエンジニアでもソフトウェア開発の知識をもっていた方が良いという流れもありこの下段の資格が作られたそうです。

更に、インフラストラクチャではもともとあったエントリーレベルのCCENTがなくなりSpecialistという資格も新たに作られました。

また、これまであった前提条件(CCNAを取得していないとCCNPは受験できないなど)も廃止されています。

(CISCO https://www.cisco.com/c/dam/global/ja_jp/assets/learning/certifications/shared/CiscoCertGuide.pdf)

今回はインフラエンジニアに直結するインフラストラクチャの資格についてお伝えさせていただきます。

CCNA

こちらはネットワークエンジニアの基礎的な資格です。新卒エンジニアの方や、未経験者の方、例えばネットワークに関わる営業の方はまずはこちらの資格にチャレンジしてみると良いでしょう。

これまでは9種類に分かれていたCCNAの資格が今は1つに統合されています。

この試験はネットワークの基礎、ネットワークアクセス、IP コネクティビティ、IP サービス、セキュリティの基礎、および自動化とプログラマビリティに関する受験者の知識とスキルが問われます。具体的な試験内容はこちらに記載されています。→https://www.cisco.com/c/dam/global/ja_jp/training-events/training-certifications/exam-topics/200-301-CCNA.pdf

CCNP

CCNAはネットワークエンジニアとしてはかなり基礎的な内容ですので、エンジニアであればできればCCNPまでとっていた方が良いです。ネットワーク未経験で転職を希望する方でもCCNPまでとっているという人はかなり増えてきています。

CCNPは以下の5種類の専門分野に分かれています。

CCNP Enterprise

CCNP Data Center

CCNP Security

CCNP Service Provider

CCNP Collaboration

この中から同じトラックのコンセントレーション1試験と コア試験合格で CCNP認定を取得することができます。

また「ネットワークエンジニアとソフトウェアプログラマーの融合」」として以下の取り方もあります。

1.インフラストラクチャコア試験とDevNetのコンセントレーション試験合格で CCNP取得可能

2.1を終了後、DevNet コア試験合格で DevNetプロフェッショナル取得可能(https://www.cisco.com/c/dam/global/ja_jp/assets/learning/certifications/shared/CiscoCertGuide.pdf

もしすでにネットワークのエンジニアとして経験を積んでいて今後幅をひろげていきたいという方はこのDevNetの資格にもチャレンジしてみるのも良いと思います。新しい資格でまだもっている人も少ないですが、シスコの認定ですのでこれから伸びてくることが予想されるためです。ただ、DevNetスペシャリスト・プロフェッショナル認定試験は「3〜5年のPythonプログラミングを含む ソフトウェア開発経験推奨」ですのでネットワークエンジニアにはややハードルは高いかもしれませんがそれだけに評価も高いはずです。

CCIE

資格で箔をつけたいと思うならやはりCCIEまで取ることをお勧めします。正直なところCCNPまでの資格は取っている人もかなり多いのでCCNPをもっていてもあまり評価が上がらないのが実情です。しかし、CCIEになればさすがエキスパートレベルでなかなかとる人もいないのでここまでもっていれば一目置かれる資格になります。

CCIEも以下の通りCCNPと同じ分野に分かれています。(Enterpriseはさらに2つに分かれています。)CCIEはコア試験とハンズオンを中心としたラボ試験合格で取得できます。ラボ試験は8時間かけて実際にネットワークの設計や構築、運用、最適化などを行います。

お気づきかもしれませんが、CCNPと同じ分野に分かれているということはもしCCNPを先に取得していればCCIEのコア試験は免除になりラボ試験だけ受ければ合格するということです。ただ、それだけCCNPを取るためのコア試験のレベルがかなり上がっているのかもという予想もあります。※3月16日の発表によるとラボ試験は新型コロナウィルスの影響で4月27日からの開始となっています。ただ、状況が改善しないようであれば開始はさらに延期となる可能性があります。

CCIE Enterprise Infrastracture

CCIE Enterprise Wireless

CCIE Data

CCIE Security

CCIE Service Provider

CCIE Collaboration

ただ、気を付けたいのはCCIEは難易度もかなり上がりますが、受験料もかなり上がるということです。シスコ技術者認定は比較的受験料が高いですが、その中でもCCIEになるとラボ試験もあるため桁が変わります。

因みにCCNAはおよそ3万円強、CCNPは2科目合計でおよそ8万円かかるのに対しCCIEはラボ試験だけで20万円ほどかかります。(CCNAやCCNPの価格はこれまでより下がっています。)

このため自費で受ける人もいますが会社の補助が出るという人は極力補助を利用したほうが良いかと思います。

もし自費でとるのであればその分年収を上げていけるように人生設計をしてからの方が良いでしょう。

3位 ORACLE MASTER

この資格も大変有名で26万人を超えるエンジニアが取得しているとも言われています。言わずと知れたDBの管理スキルを証明するための資格です。

試験はデータベースの管理や運用能力とSQLの習熟度を測る構成になっています。ただ、ORACLE MASTERも2020年1月にリニューアルされ大きく2つの変更点があります。一つ目はもともとデータベース製品のバージョンアップに合わせて資格が変更されてきましたが、クラウド化などの影響により製品が毎年バージョンアップされることになってきたことから資格自体も複数バージョンに対応できるように変更されました。

二つ目は今まで一つだった資格がDBAとSQLの2つに分かれました。こちらも時代の流れに合わせエンジニアのキャリアパスに合わせて設定されました。

またDBAの資格はBronze、Silver、Gold、Platinumの4段階あり、元々はBronzeから順番でないと取れないようになっていました。しかし、今回の改訂でSilverは前提条件がなくなり、いきなりSilverを受けることができるようになっています。

Bronze:ORACLE MASTER Bronze DBA 2019

Oracle Database のアーキテクチャや Oracle Database の構成に関する重要な用語を理解し、またデータベースの日常的な運用管理についての基本を理解していることが必要です。ITエンジニアとして必要な Oracle Database に関する基礎知識があることを証明する資格ですので、新入社員の方やIT企業に勤める非エンジニアの方が受けるのには良いかと思います。

Silver:ORACLE MASTER Silver DBA 2019

インスタンスの管理やネットワークの設定、記憶域の管理、ユーザー、セキュリティ管理などデータベース運用管理タスクの知識があり、SQLによるデータアクセスやオブジェクト管理の知識も持ち合わせて日常的な運用管理作業のスキルが必要です。こちらはOracle Database Administration Iという試験を受けます。

Gold:ORACLE MASTER Gold DBA 2019

Silver DBAで認定された運用管理スキルに加え、RMAN(Recovery Manager)によるバックアップ・リカバリや複製、マルチテナント環境の構成・管理全般、インストール、パッチ適用といった技術要素を理解するデータベース管理者として、状況に応じた手法の提案や助言を行うスキルが必要です。

更にGoldを取得するとGlobal資格であるOracle Database Administration Certified Professionalに同時認定されます。

また、Goldを受ける際はもともと必須の履修コースがありましたが、この履修コースがなくなり、Silver DBAを取得した上でOracle Database Administration II (1Z0-083-JPN) 試験に合格すると取得できます。

(参照:https://www.oracle.com/jp/education/certification/allcertification-172551-ja.html

Platinum:詳細未定

SQL:ORACLE MASTER Silver SQL 2019

開発者やデータ・アナリスト向けの SQL のスキルを判断するための資格です。

Oracle Database SQL (1Z0-071) 試験に合格すれば取得できます。

ORACLE MASTER 新資格体系認定パス https://www.oracle.com/jp/education/index-172250-ja.html

一時はOracleのシェアは急激に減ったと言われ、MySQLや最近ではMongoDBなどが躍進しているものの、solid ITから発表されているデータベースの人気ランキングではまだまだ不動の一位を獲得しています。データベースエンジニアを志している方であれば取得しても損はない資格であることは間違いないです。(参照:https://db-engines.com/en/ranking

人気資格TOP3は以上のような資格でした。その他にお勧めの資格や今注目の資格は次に簡単にまとめました。

■国家試験・国家資格

みなさんは「情報処理の促進に関する法律」というものがあることをご存じでしょうか。

「この法律は、電子計算機の高度利用及びプログラムの開発を促進し、プログラムの流通を円滑にし、並びに情報処理サービス業等の育成のための措置を講ずること等によつて、情報化社会の要請にこたえ、もつて国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的と」して制定されたものです。(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC0000000090#2

この法律に基づいて経済産業省が国家試験として認定し、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施しているのが以下の試験です。

(情報処理推進機構:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html

この中でITパスポート、基本情報技術者試験はIT業界の浅い方でも比較的耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。この2つは人気の試験でもあり、私が調べた人気資格のランキングでもそれぞれ5位と4位に位置付けていました。

ITパスポートは上記の表からもわかる通りITを利用する者且つ全ての社会人が対象、つまりエンジニアでなくとも、IT業界でなくとも一般的に働いている私たちに必要な共通的知識を問う試験なので、まさに受けている人も幅広くいるという資格です。

このため、問われる内容も技術的なものばかりではなく、労働者派遣のことや3C分析のことなど幅広いです。ただ、本当に基本的な内容のことが多いので受験者からはよく1週間勉強すれば取れると聞きますね。興味がある方は過去問も公開されているのでご確認いただければレベル感などもわかるかと思います。(情報処理推進機構 https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/openinfo/questions.html

基本情報技術者試験はエンジニアを目指す方やエンジニアの新入社員がよく受けている試験です。情報処理技術者試験のすべての試験の基盤となるような土台の試験です。

こちらは基本情報処理という名前がついていますので聞いていることは基本なのかもしれませんが、やはり国家試験、簡単に取れるとは思わない方が良い試験です。

令和1年の合格率が25.7%とまあまあ低く、例年大体20%強と言ったところのようです。(因みに応募者数も約17万人とかなり多いですが。)

この試験はエンジニア経験者の方だと逆に上述しているようなベンダー資格と違って用語などが普段使っているものと違うため逆に覚えづらいとか勉強して意味があるのか、と思ってしまうなどの声も聞きます。ただ、これだけ低い合格率の中で合格すればやはりエンジニアとしてそれなりの知識があるという証明になるのでこれから就職活動を始める学生さんや新入社員の方はぜひ受けてみると良いかと思います。

応用情報技術者試験は基本情報技術者試験の上位資格に当たります。

こちらも令和1年の合格率は22.3%と低めとなっています。応募者数は10万人弱でした。この試験はエンジニアとして数年の実績を積んだ方が多く受験しています。午後の試験は記述式のためしっかり理解していないと回答は難しい試験です。

しかし、この試験に合格していれば1ランク上の情報技術に関する知識をもっていることが証明できると言って良いでしょう。IPAのHPでも謳っていますが、基本情報技術者試験がITエンジニアの登竜門なら応用情報技術者試験はワンランク上のITエンジニアというわけです。

更に高度な資格を目指したいというインフラエンジニアの方であればネットワークスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験、情報処理安全確保支援士試験の3つがあります。

ネットワークスペシャリスト試験は令和1年の実績が応募者数18,345名の人気の試験ですが合格率は14.4%と大変低い数字となっています。

データベーススペシャリスト試験はH31年の実績が応募者数16,831名の同じく人気の試験ですが合格率はこちらも14.4%と難関の資格です。

それだけにそれぞれの専門分野のエンジニアにとってはこの試験に合格していれば間違いなく専門分野に長けている上位者として認識を得られることと思います。

また、情報処理安全確保支援士試験はまだあまりなじみがないという方もいるかもしれません。これは平成29年度から実施されている試験で、合格すれば国家資格である「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」を取得することができます。

この情報処理安全確保支援士とは以下の背景によって生まれた資格で、昨今ますます重要視されているセキュリティの対策を行えるスキルがあるということを証明する資格になります。これはかなり注目度の高い資格と言えます。

サイバー攻撃の増加・高度化に加え、社会的なIT依存度の高まりから、サイバー攻撃による社会的脅威が急速に増大しています。すなわちサイバーセキュリティ対策は、経営リスクとして、そして社会的責任として、非常に重要な課題になりつつあり、その責任を担える人材の確保が急務となっています。この人材の確保のために2016年10月に「情報処理の促進に関する法律」が改正され、新たな国家資格が誕生しました。これが「情報処理安全確保支援士(略称:登録セキスペ)」です。

情報処理推進機構https://www.ipa.go.jp/siensi/index.html

ここではインフラエンジニアに人気の6つの資格を取り上げましたが、ご本人のキャリアプランによってはプロジェクトマネージャ試験やITサービスマネージャ試験なども活用できると思います。ぜひ自分のキャリアをどうしていきたいか考えて、他の資格についても検討してみてくださいね。

そして、ここまでの話の中でも何度かクラウドという言葉が出てきました。今インフラエンジニアにはクラウドのスキルや知識が重要視されています。そこで更なる需要が予想される、クラウド環境を意識した注目の資格を3つご紹介します。

■LinuC(リナック)

LPI-Japanが実施している、従来のLPICに変わる新しいLinux技術者認定です。リリース自体は2年ほど前ですが、これまでは受験予定者の混乱を避けるためにLPICと同じ出題範囲で認定試験を行っていました。しかし、2020年3月に当初の予定通り試験内容が大幅にリニューアルされました。このため今後より注目される資格となっていくことが予想されます。

LinuCはレベル1~3の3段階あり、順次ステップアップする方式をとっています。つまり下位の資格を取らないと上位の資格がとれないシステムです。

今回の改訂ではレベル1、2のみが行われており、レベル3の改訂は今年いっぱいかけて行われるそうです。改訂されたレベル1、2の内容は以下の通りです。

LinuCレベル1 Version 10.0

(勉強時間の目安1~3か月)(参照https://linuc.org/linuc1/

■確認できるスキルレベル

クラウド環境やオンプレミス環境における「Linuxシステムの構築・運用・管理の専門家」を認定する認定試験です。スキルレベルは以下の通りです。

・Linuxシステムの構築・運用・保守をするために必要な基本操作ができる。

・Linuxディストリビューションを利用するために必要な知識がある。

・Linuxシステムの構築・運用・保守に必要なネットワーク、セキュリティの基本設定ができる。

・クラウド構成技術である仮想化とコンテナの基礎知識がある。

・オープンソースの文化を理解し、エコシステムに貢献できる。

■受験費用

1試験あたり15,000円(消費税別)。

レベル1を取得するには101試験と102試験の2試験に合格する必要があります。

LinuCレベル2 Version 10.0

(勉強時間の目安3か月~半年)(https://linuc.org/linuc2/

■確認できるスキルレベル

クラウド環境やオンプレミス環境における Linuxによるシステム構築、ネットワーク構築を行ったりLinuxの応用的なシステム管理やサーバー構築をしたりするために必要な知識を幅広く問います。詳細は以下の通りです。

・小規模から中規模までのサイトを管理する。

・仮想マシンやコンテナを含む複数システムを統合管理する。

・次のような異種OS(Linux, Windows)混在環境ネットワークの計画、実装、保守、一貫性の維持、セキュリティ設定、トラブルシューティングを行う。

・LANサーバー (Samba, NFS, DNS, DHCP, クライアントの設定)

・インターネットゲートウェイ(firewall, VPN, SSH, web cache/proxy, mail)

・インターネットサーバー (HTTP サーバーとリバースプロキシ)

・プロジェクトメンバーを指導する。

・システム導入、案件の発注内容、予算等についてプロジェクトマネージャーに助言やサポートをする。

・代表的な非機能要件である可用性とスケーラビリティを考慮したシステムアーキテクチャの基本パターンを理解し、実際のシステム構成に応用できる。

■受験費用

1試験あたり15,000円(消費税別)。

レベル2を取得するには201試験と202試験の2試験に合格する必要があります。

鈴木敦夫理事長のインタビューページでは今回の改訂のポイントについて以下のように語られています。

今回の改定のポイントは、「クラウドに広げる」「オープンソースを使いこなすのに必要な知識を入れる」「アーキテクチャの要素を入れる」という3つです。

https://linuc.org/about/202003.html

上記の確認できるスキルや理事長のコメントを見ると、確かに今必要と言われているスキルを大きく反映した試験と言えそうですね。

LinuCレベル3は現時点ではLPICと同じ出題範囲で実施されていますので、改訂前に取ろうと思えば取れますが改訂される試験もどういう範囲になるのか楽しみですね。

■AWS認定

AWS認定とはAmazonが運営するクラウドサービスであるAWS(Amazon Web Service)の認定資格です。AWSは言わずと知れた国内トップシェアのサービスですので使っている企業はとても多く、実用的な資格と言えます。

AWS認定は以下の一覧のように分かれています。

参照:https://aws.amazon.com/jp/certification/

AWSに全く触ったことがないという方はクラウドプラクティショナーから勉強してみても良いかもしれませんが、インフラエンジニアの方ならアソシエイトレベルからでも良いかと思います。

■CompTIA認定資格

CompTIAはベンダーニュートラルな資格として実施しています。つまり特定のベンダーに偏らないIT実務のスキルを認定してくれるものです。

CompTIAのメリットはグローバルな資格であり、更に「実施試験数では全世界で、マイクロソフトに次いで2位(ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2)」となるほどの実施数を誇ります。このため信用度と評価もとても高い資格として有名です。

1993年より提供開始されているCompTIA A+をはじめとするCompTIA認定資格は、業界のエキスパートにより開発され、IT業務における実践力、応用力を評価する認定資格として、法人を中心にワールドワイドで200万人以上に取得されています。

いくつかの認定資格は、公正に従業員を評価する開発手法を評価されISO17024の認証を受けています。これにより、ワールドワイドで信頼性の高い認定資格として評価されています。(CompTIAhttps://www.comptia.jp/cert_about/certabout/

CompTIAの資格も多数あってネットワークやサーバの資格もありますが、今回はクラウドのスキル証明のための資格について記載します。

CompTIA Cloud+

証明できるスキル

■標準的なクラウド手法の理解

■クラウドテクノロジー(ネットワーク、ストレージ、仮想化テクノロジなど)の実装、保守、提供

■ITセキュリティについて理解し、クラウドの実装に関連する業界のベストプラクティスの使用

ITネットワーク、ネットワークストレージ、またはデータセンター管理における24~36ヶ月以上の業務経験者を対象としている資格です。

仕事の幅を広げるOR給料を上げるために

以上かなり多くの資格を紹介させていただきましたが、どの資格を取るべきか迷われる方も多いのではないでしょうか。しかし大切なのはそもそも何のために資格を取るかということです。もちろん自分の知識や努力を証明するためですが、ただ自己満足で終わってしまってはもったいないですよね。もちろん会社から言われて取るという人もいるでしょう。費用を会社がもってくれたり、資格を取るための支援をしてくれたりするというのであればそれだけでも良いかもしれません。

しかしその努力と得た知識についてはしっかり活用し、且つその活用した結果に対して給与が上がるという結果が必要ではないでしょうか。

もし会社が資格を取ることが前提で、その結果としての給与があらかじめ設定されているのであればまずは言われた通り資格を取る必要があるでしょう。しかし会社によっては資格への補助がなかったり、資格を取っても特に給与には反映されない、もしくは反映されてもごくわずかだったりというところも少なくはありません。また、せっかく資格をとってもその資格を生かせるような仕事が回ってこないということもあります。

しかし、実務経験も積んで、知識も資格によって裏付けされている状態であればやはり仕事内容を変化させたり、給与を上げたりしていくべきです。もし会社の仕組みがそうなっていないのであれば一度転職を考えてみることもお勧めします。エンジニアの方であればフリーランスで働くことも給与を上げる一つの方法です。

興味のある方は一度エージェントなどに登録をしてご自身の市場価値を判断してみてはいかがでしょうか。もちろん転職やフリーランスになっても給与も上がらず何も変わらないということであれば今の会社が高待遇なのだと思いますのでそのまま転職せず働き続けるということもできます。そういったことを判断するためにも世の中にどういった会社や求人があって自分自身がどういう条件のどういう仕事ができるのか、エージェントに相談をしてみると見えてくるものもあると思います。

まとめ

上述してきたようにインフラエンジニアのための資格と言ってもかなり多くの資格があります。また専門分野に特化していればよいという状況ではなくなり、ネットワーク、サーバ、データベース、セキュリティと幅広い知識が求められるようになっています。

今後どういった仕事がしたいのか、いくらくらいの給与がほしいのか、などぜひご自身の人生設計を考えてよりよい職業人生を送ってください。資格を取ることはそのための後押しをしてくれることになりますのでぜひこの機会にまずは資格について考えてみることをお勧めします。IT技術は現在進行形でどんどん進化していきますが、一つの仕事をしていてすべての環境や機器に携わって実務経験を積むというのは難しいです。そこで実務経験が積めない部分を知識でカバーしそれを資格で証明するということが重要になります。もし、もともと転職を考えているような方や就職活動中の方であれば特におすすめです。やはり同じくらいの実務経験であれば資格を持っている方が採用されやすく有利になるということもあります。資格は履歴書に書けますから、やったことはなくても知っていることをアピールできますし面接に呼ばれる確率は高くなりますよね。どんな資格を持っていると有利かなどの情報はたくさんありますのでいろいろと調べてみるのも良いですね。

今は外出自粛で家にいる時間も長いですし、在宅勤務で通勤時間の分を勉強に充てられる良い機会でもあると思いますのでこの機会をチャンスと捉えて自宅時間を有効に使ってくださいね。

本記事が自分にはどういう資格が合っているのか選択し、挑戦するための参考になると嬉しいです。

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