IT業界は、テクノロジーの更新の速度が目覚ましく、あるスキルへの需要が急速にアップしたとしても、数年後には違うスキルに取って代わられるということも決しておかしくありません。
ある意味、ITエンジニアに求められる最大の能力は、今持っているスキルや能力に甘んじることなく、日々スキルアップし続ける姿勢と言えるかもしれません。
今回は、常にエンジニアに求められる普遍的な能力と、最近注目されているスキルを大きく5つに分けて紹介していきたいと思います。
言語分野のスキルアップ
現在、ITの開発現場で人気な言語といえば、Ruby、JavaScript、PHP、Javaなどが上がってくるでしょう。いずれもオブジェクト指向(モノを作るという概念)を持っていて、動的にサイトやシステムを動かすためのプログラミング言語です。また、unityなどのゲームエンジンを用いた開発現場も、比較的単価が高く設定されている模様です。
HTML、CSSといったマークアップ言語のみを扱っている方は、これらの言語を習得していき、ご自分の市場価値を高めていきましょう。Java、PHPといったメジャーな言語を扱える方でも、RubyやPythonといった、日本のITの現場でも評価され始め、ニーズが高まっている言語を覚えていくべきでしょう。
仕事場にこれらの言語に詳しい先輩や同僚がいる場合、積極的に質問するなどしてスキルを吸収していきましょう。そのような環境にいない場合、比較的学びやすいRuby、PHPがオススメです。
プロジェクトマネージャーとしてのスキル
現在では、ITのスペシャリストとして、ある技術に特化した人材の評価が見直されていて、プロジェクトマネージャーと変わらないような給料と役職を用意している企業も少なくありません。
しかし、納期という絶対的なものがある以上、全体を包括して作業を推し進めていくプロジェクトリーダーが必要とされていることに変わりはありません。
いわゆるPM的な考え方とは、全体を見据え、実際の小さな作業に落とし込み、その作業を指示していくことです。
より高みを目指すならば、トラブルの原因を見つけ出し、それを潰す能力や、チームとしての課題を浮き彫りにし、解決していくような能力があれば理想的です。
業務とは関係のないイベントの幹事でも良いので、小さいプロジェクトを滞りなく完結させていくことから始めていきましょう。それらを数多くこなすことで、段々と全体を統括し、マネージメントする力を養うことができます。
ドキュメントを作成する能力
ITエンジニアにとっては軽視されがちな要素ですが、意外と作業の機会の多いのがドキュメント作成です。
設計書、プロジェクト計画書、提案書、ユーザーマニュアル、報告書、プレゼンテーション資料などなど、エンジニアに関わりのあるドキュメントで思いつくだけでも数多くあります。
エンジニアにとってのドキュメントの役割は一緒にシステムを開発する人に連絡する手段であったり、社内、または社外に対してシステム(製品)を説明するためのとても重要なものです。
残念ながら多くのプログラマーなどは、実際の業務とは直接的に関係しないのだからとこのドキュメント作成の作業に時間も労力も割けない傾向があります。その結果多くのエンジニアがドキュメント作成に苦手意識を持っています。
だからこそしっかりと作りこまれた、かつ分かりやすいドキュメントが作成できるエンジニアは、他のエンジニアよりも一線秀でていると言えるでしょう。
社内で資料作成の機会があった時などは、積極的に手を上げて、数をこなすようにしましょう。配置や配色などに関するデザインの知識も有効です。
自分で仕事を生み出す能力
2で、ITのスペシャリストに対する評価が見直されていると書きましたが、そう言ったスペシャリストは初めからスペシャリストであったかというともちろんそうではありません。
言語でもコミュニケーション力でもマネジメント力でもなんでもいいですが、日々の仕事の中で誰しもが自分の強みに気づいていきます。そう言った自分の強みを活かした仕事の提案を繰り返し、自ら仕事を作り出していくのです。
これは何もIT業界に限った話ではありませんが、どんな知識も技術も、仕事(というか、お金に変えられるということ)にできなければ意味がありません。
どんな小さな仕事でも自分の強みが発揮できる仕事を繰り返し作っていくことで、初めて専門スキルと呼べるものは築かれていきます。
こうした目に見えないスキルは、社内はもちろん、社外の活動においても効果を発揮し、高評価につながります。フリーランスとなって独立するという時にも、一番重要なスキルと言っても過言ではないのでしょうか。
英語力
プログラムを自分で組まれる方はよくご存知のことと思いますが、言語などを学ぶ上で、特に最新の情報を手に入れたいという時、英語の壁が立ちはだかったことはないでしょうか。GitHubなどの有名なサービスも、ほとんどは英語で書かれていますし、英語と日本語をITの情報リソースで比べると、約10倍にもなると言われています。
Google翻訳が劇的に改善されるのを待つより、自分の英語力を高めた方が生産的です。ITエンジニアという職業に限らず、英語というスキルがどれだけ重宝され、仕事や転職に役立つか、ということは、日本人なら誰しもが理解していることだと思います。身につけておいて損ということは絶対にありません。
理系出身者が多いIT業界において、英語力が高い、ということは、希少価値が高いということもあって、ひときわ存在感を発揮するのではないのでしょうか
まとめ
ITエンジニアのスキルアップと聞いて、資格を思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、ITに関する資格の多くは、その知識や技術で実際にモノを作れる、または、お金に変えることができる、といったものではないので、実際のITの現場では、歓迎されることは少ないです。現在では、丸暗記だけでは通用しないようなITの資格もなくはないですが、まだ世間一般に知れ渡っているとは言えません。
やはり、実際の現場での経験を通して血肉となったスキルや能力が、ITエンジニアの総合的な評価につながってくると言えそうです。上記5つのスキルだけでなく、日々の仕事の中で、強みとなりそうなものや、興味を持ったものはどんどん奇をてらわず経験してみることです。また、そういう意識のアンテナのようなものを常に張って、業務に打ち込んでいくことがスキルアップに繋がる大きな手がかりとなるかもしれません。