【2020最新】フリーランスの健康保険について

この記事を読まれている方の中にはこれから初めてフリーランスになるという方もいることと思います。フリーランスになったら今まで会社でやってくれていた社会保険関係や税金関係などをすべて自分でやらないといけなくなります。これがハードルになってなかなかフリーランスになれない方もいることでしょう。

今回の記事ではその中でも特に健康保険について焦点を当ててフリーランスになったらどのような手続きをするのか詳細をお伝えしたいと思います。

知っていれば保険料を安く抑えるなど「得」することが増えますのでぜひ読んでみてください。

フリーランスになったら健康保険はどうなるのか

日本は国民皆保険制度をとっています。このことについて何となく聞いたことはあっても意外と知らないのが、全ての国民が公的な医療保険制度への加入を義務づけられているということです。このため会社員でなくなったからと言って公的医療保険への加入をしないという選択はありません。時々「ほとんど病院行ったことないからしばらく健康保険は入りません」という人が実際にいるのですが、加入は義務なので必ず何かに入るということを肝に銘じていただきたいと思います。

では、公的な医療保険制度とは何があるのでしょうか。

実は大きくは3種類に分けられます。

  • サラリーマンが加入する被用者保険(職域保険)

※「さらに被用者保険は職業によっていくつかの種類があり、主に民間企業のサラリーマンが加入する健康保険組合と全国健康保険協会(協会けんぽ)、公務員が加入する共済組合などに分かれています。」(健康保険組合連合会https://www.kenporen.com/health-insurance/basic/01.shtml

  • 自営業者・サラリーマンOBなどが加入する国民健康保険(地域保険)
  • 75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度

つまり、フリーランスで働いている、もしくは働こうとしている皆さんは基本的には国民健康保険に加入することになります。

しかし、実は国民健康保険以外にも2つの選択肢があります。

それはa.会社員時代の健康保険を任意継続すること、とb.家族の健康保険に被扶養者として加入することです。

フリーランスで働くときにはこの3つの中から加入する医療保険を選ぶ必要があります。

それではそれぞれにどういった違いがあるかを見ていきましょう。

a.健康保険の任意継続とは

これは会社員時代に加入していた健康保険を個人でも2年間加入し続けることができる制度です。任意継続の特徴は退職時の標準報酬月額に基づいて保険料が決定され、原則2年間変わらないことと扶養家族の方の保険料がかからないことが挙げられます。

任意継続の手続きは会社が対応します。その際に必要となるのは以下の要件を満たしていることです。

〇資格喪失日(退職日)までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヵ月以上あること。

→これは万が一その会社で2か月以上働いていなくても健康保険の被保険者期間(協会けんぽおよび健康保険組合に加入していた期間)が1日も間を空けることなく、2ヵ月以上あれば要件を満たしているということになります。

〇資格喪失日(退職日の翌日等)から20日(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること。

1日でも遅れれば任意継続をすることはできなくなってしまいますので注意が必要です。

ただし、会社員であれば会社と本人で保険料を折半していましたが、退職後は任意継続でもご本人が全額負担をすることになりますのでご注意ください。

b.家族の健康保険に被扶養者として加入するとは

家族の健康保険に被扶養者として加入することもできます。

その場合は収入や同一世帯の点で以下の要件を満たしていることが必要です。

被扶養者に該当する条件は、被保険者により主として生計を維持されていること、及び次のいずれにも該当した場合です。

(1)収入要件

年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入※180万円未満)かつ

同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(*)

別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

※ 年間収入とは、過去における収入のことではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下。雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であること。)

また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれますので、ご注意願います。

(*)収入が扶養者(被保険者)の収入の半分以上の場合であっても、扶養者(被保険者)の年間収入を上回らないときで、日本年金機構がその世帯の生計の状況を総合的に勘案して、扶養者(被保険者)がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがあります。

(2)同一世帯の条件

配偶者、直系尊属、子、孫、兄弟姉妹以外の3親等内の親族は同一世帯でなければなりません。

(日本年金機構https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-02.html

家族の扶養に入る場合にはその手続きは家族の勤める会社でやってくれますので会社に相談してもらいましょう。

C.国民健康保険とは

国民健康保険の特徴は、保険料が前年の所得などに応じて決定されること、国民健康保険に加入する世帯人数分の保険料がかかること、そして保険料の減免制度があることです。

ご注意いただきたいのは、会社員を辞めた場合に会社員時代の健康保険の資格喪失手続きは自動でされますが、国民健康保険の加入はご自分で手続きする必要があることです。手続きをしないと保険に加入していない状態になり、万が一病院にかかることになったら全額実費で驚くような額を請求されますのですぐに手続きをすることをお勧めします。

手続きの方法はお住まいの市区町村のHPに記載がありますのでご確認ください。

基本的には健康保険資格喪失証明書(もし扶養から外れるという場合には扶養が外れた日が確認できる書類)を提出する必要があります。また、最初にも述べた通り公的医療保険への加入は義務なので基本的には前に入っていた保険と国民健康保険の加入の間が空くということはあり得ません。このため、もし手続きをするのが遅くなったとしても必ず加入は手続きした日ではなく、資格喪失日となります。

また、多いご質問としては月の途中で前職を退職される場合に保険料は重複するのでは、といった内容です。答えはNoです。重複はしません。健康保険というのは毎月末日に加入している保険を加入している保険とみなして保険料を支払いますので重複することはないのです。(注:健康保険に加入した月に退会する場合にはその保険料と次に入る保険料を両方支払わないといけないので注意してください。)

どれがより“お得”か

あまり稼ぐことを考えておらず上述の収入要件を満たすのであれば家族の扶養に入ることが一番お勧めです。

それでは任意継続と国民健康保険のどちらがお得かというとそれはみなさんの置かれている状況によって異なります。

〇扶養家族がいる場合

配偶者や子どもなど扶養家族がいる場合は任意継続の方がお得な場合が多いです。

なぜなら前述したとおり国民健康保険は世帯人数分の保険料がかかるのに対し任意継続は扶養家族の保険料がかからないからです。

〇給与が30万円以上だった場合

標準報酬月額が30万円以上の場合も任意継続の方がお得になる場合が多いです。

因みに標準報酬月額とは、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した額を指します。

そして任意継続の保険料には次の通り上限があるのです。「退職時の標準報酬月額が30万円(※)を超えていた場合は、30万円(※)の標準報酬月額により算出した保険料となります。

(※)平成31年3月分までは28万円(全国健康保険協会https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat650/r321/#q3)」

つまり会社員時代の給与が高かった方は国民健康保険の場合は前年の所得に応じて保険料が決まってしまうため、任意継続の方が保険料を抑えられる可能性が高いと言えます。

〇加入していた健康保険に付帯しているサービスが魅力的な場合

加入している健康保険組合によっては、保養施設を安価で使えたり、スポーツクラブの法人会員利用ができたりするなどのサービスが充実しているところもあります。保険料が任意継続と国民健康保険であまり変わらない場合はこういったサービス面の視点で選ぶのも良いかと思います。もしこういったサービスが充実している健康保険組合に加入していた場合は任意継続の方がお得と言えます。

因みにもし何等かの理由でほとんど仕事ができず著しく所得が低くて保険料を払えない、という場合は国民健康保険に切り替えて減免制度を利用するということができます。

どういった方が対象になるかなど減免制度の詳細はお住まいの市区町村のHPに掲載されていますので該当する可能性がある場合はご確認されることをお勧めします。

ここでは参考までに平塚市のHPから抜粋して記載しておきます。http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/nenkin/page-c_00075.html

保険税の均等割額と平等割額について、判定区分に応じて7割・5割または2割を減額します。

該当する世帯については所得の申告(確定申告・市県民税申告等)に基づいて保険税を算定します。

なお、判定区分は経済動向等を踏まえ、見直しがされています。

(平成31年度)

判定所得 判定区分 軽減割合
世帯主と世帯に属する被保険者と世帯に属する特定同一世帯所属者の前年中の総所得金額等の合計額 33万円以下の世帯 7割
33万円+(28万円×世帯に属する被保険者数と世帯に属する特定同一世帯所属者数の合算数)以下の世帯 5割
33万円+(51万円×世帯に属する被保険者数と世帯に属する特定同一世帯所属者数の合算数)以下の世帯 2割
【補足】標準報酬月額について

毎月の給与に変動がある方はいつの給与が標準報酬月額なのか疑問に思われるかもしれませんが、計算のタイミングは決まっています。

「7月1日現在の被保険者について、4月・5月・6月に受けた報酬の平均額を標準報酬月額等級区分にあてはめて、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額を決定します。なお、支払基礎日数が、17日未満の月については、標準報酬月額の計算から除くことになっています。(全国健康保険協会https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3165/1963-232/)」

また、ご自分の標準報酬月額でいくらの健康保険料を支払うのか知りたい場合にはこちらのサイトにそれぞれの都道府県の一覧が載っていますので参照してください。(全国健康保険協会

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h31/h31ryougakuhyou4gatukara/

国民健康保険組合について

ここでは国民健康保険組合についてご説明します。国民健康保険組合って国民健康保険と同じじゃないの?と思われている方も多いと思います。この2つは実は違うものなのです。

国民健康保険を運営しているのは市区町村ですが国民健康保険組合は職業の業種や事業内容ごとに作っている団体が運営しているものになります。

場合によっては国民健康保険に入るよりも保険料が安く済むこともありますのでフリーランスで働かれている方の中でも国民健康保険組合に加入される方もいます。

しかし残念ながら明確にエンジニアのみなさんに向けた国民健康保険組合はありません。

このため上記の選択肢に入れていないのですが、入りたい方向けに入れる可能性のある組合をご紹介しておきます。それが文芸美術国民健康保険組合です。

加入資格は「日本国内に住所を有し、文芸、美術及び著作活動に従事し、かつ、 組合加盟の各団体の会員である者とその家族。(http://www.bunbi.com/)」です。Webデザイナーの方であれば入れる可能性はあるかもしれませんが、この「組合加盟の各団体(http://www.bunbi.com/dantai.html)」を見てももしかすると本サイトの読者の方々は該当しない方が多いかもしれません。ただ、この組合は保険料が収入に関わらず一律ですのでこの点では収入が増えやすいエンジニアのみなさんが入れればお得である可能性は高いかもしれません。

組合員の収入が、多い少ないにかかわらず均等です。

令和元年度の保険料(平成29-30年度と同額)

組合員 1人月額 19,600円 (医療分 16,000円 後期高齢者支援金分 3,600円)

家 族 1人月額 10,300円 (医療分 6,700円 後期高齢者支援金分 3,600円)

介護保険料 (満40歳から64歳までの被保険者) 1人月額  4,000円(http://www.bunbi.com/

もしご興味がある方は問い合わせをしてみるのも良いかと思いますのでご参考になさってください。

また、どういった国民健康保険組合があるかご興味がある方はこちらに一般業種国民健康保険組合の一覧がありますので参照してください。

全国国民健康保険組合協会 http://www.kokuhokyo.or.jp/page8-etc.html

まとめ

さて、フリーランスになってから加入するべき健康保険についてご理解いただけましたでしょうか。はじめに記載した通り公的医療保険への加入は義務ですので病院に行く行かないに関わらず必ず加入するようにしましょう。なぜ義務かというとみなさんが病院にかかった時に支払う医療費を安く抑えられている理由は、みなさんが公的医療保険に加入して保険料を毎月払っているためだからです。みなさんが保険料を払わなくなったら日本が誇る国民皆保険の制度が崩れることになります。実際に短期的に見れば病院に行かない方でも長い目で見れば病院にかかったり、自分の家族がかかったりすることは必ずあると言っても過言ではありません。そういうときのためにしっかり加入して国民皆保険の制度を支える意識をもっていただきたいと思います。とはいえ、不必要に多くのお金を支払うのは誰しも嫌だと思いますので、自分の加入できる保険の中で一番メリットを感じられる医療保険に入っていただくのが良いと思います。そのためにぜひしっかり健康保険について学んで知識をつけてくださいね。

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