エンジニアが派遣で働くメリットデメリットとは

2020年になり、世の中は働き方改革が叫ばれ、働き方も多種多様になってきました。今まで正社員で働いていた人の中にも自分の生き方を考えた時に、正社員が合わないと感じていたり、派遣で働こうかと思っていたりする人も増えてきているように感じます。

そこで今回は派遣で働くメリットやデメリットについて解説していきたいと思います。もうすぐ改正派遣法が施行される今だからこそ本記事によって正しい知識を身に着け今後の働き方を自分の意志で選択し、決める上での参考にしてもらえればと思います。

そもそも派遣とはどういう働き方か

よくフリーランスと派遣の違いがわからないという話をする人がいます。エージェントが違うだけ?いえいえ、フリーランスで働くことと派遣で働くことは全く違うのです。

それではまずは正社員やフリーランスと派遣の違いという観点で説明させていただきたいと思います。

違い1.会社に雇用されているかどうか

正社員 〇  派遣 〇  フリーランス ×

派遣で働くためには派遣元(派遣会社)に雇用されていなければなりません。そういう意味では正社員と同様、派遣スタッフも派遣元企業の社員(有期の可能性はあります)という扱いになるのです。このため福利厚生も派遣元企業で規定しているものが使えますし社会保険も加入できます。それから派遣方改正に伴い就業先への交通費も支給されることになりました。

違い2.賃金の考え方

正社員 月給制か年棒制

派遣 時給

フリーランス 140時間~180時間/月の報酬制(フルタイムで働くことを想定した案件の場合)

やはり大きく異なるのがこの賃金(給与)の考え方ですね。通常正社員ではみなし残業時間なども入れて月給いくら、と決まっていますので残業の繁閑差が大きい上にきっちり残業代が出る企業でなければ毎月の給料の変動は大きくありません。

しかし派遣は完全に時給制ですのでもし繁忙期は残業が増えるとなったらその残業時間分はきっちりと給料が支払われます

逆にフリーランスはあらかじめ就業時間の幅が決まっているケースが多く、月に140時間~180時間の労働でこれくらいの報酬、ということが決まっています。このため同じ給料でもスキルが高く仕事が速い人は140時間の労働で済むのにそうでない人は180時間の労働が必要になるということが言えます。しかし、もし140時間を切った場合、もしくは180時間を超えた場合は140時間以下では報酬からいくらか事前に決めた額が差し引かれ、180時間以上の場合は事前に決めた額が残業代として支払われます。同じお仕事をしているのに何だか残念な気持ちになりますね。

違い3 契約先企業との関わり

正社員 〇

派遣 〇

フリーランス ×

正社員の場合の契約先企業とは自分を雇用してくれている会社ですので当然周囲の人たちとの関わりは切っても切り離せませんね。

派遣の場合も業務上の関わりという意味では正社員とあまり変わりはありません。通常派遣の場合は派遣先企業(勤務先)の中に指揮命令者という人を立ててもらいます。このため業務の指示はこの指揮命令者からもらいますし(指揮命令者から指示を受けた代理の人からの指揮命令も可能です)、業務上の管理も派遣先企業の責務ですので業務上の関わりは大切になってきます。もちろん職場の人とは業務外の付き合いをしたくない(例えば飲み会や土日に遊ぶなど)、という場合には初めから断っておくことで回避することが可能です。

フリーランスの場合は通常業務委託契約という契約を締結します。これは派遣契約が労働力(つまり働く時間)を担保するのに対し業務委託契約は成果物(例えば何かのシステムとか、もしくは仕様書、設計書などの書面など)を担保します。このためゴールが明確な業務委託契約では契約先企業からの指揮命令はあってはならないとされています。少し前には「偽装請負」という言葉がありましたが、これは業務委託契約であるにもかかわらず契約先企業から指揮命令を出し、契約以外のことをやらせていたような状況のことを言っていたのです。こういった偽装請負が横行したことを受け、昨今ではこの対応が非常に厳しく求められ、業務委託や請負契約の人たちと正社員の間にパーテーションを置くなど徹底して関わらない方策がとられています。

大きな違いはわかりましたか?どういった雇用形態が向いているかはご自身が重視する働き方や生き方に何が合うのか考えて決める必要があります。

派遣で働くメリット

派遣で働くメリットは大きなもので3点あります。

1.就業時間の自由さ

まずは何と言っても自分の生活に合わせて働く時間を決められるという点です。世の中ではまだまだ派遣で働いていることにネガティブなイメージ(正社員になれないから仕方なく派遣で働いているなど)をもっている方も少なくありません。しかし、実際非正規雇用で働く人たちがなぜ非正規で働いているかを聞いた調査があります。

総務省統計局が公開している労働力調査(詳細集計) 2019年(令和元年)(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf)の中に「現職の雇用形態(非正規の職員・従業員)についた主な理由」という項目があり、そこに掲載されているデータでは以下のようになっています。

理由の第1位は男女ともに「自分の都合のよい時間に働きたいから」で30.2%(男性では29.0%、女性では30.7%)となっています。「正規の職員・従業員の仕事がないから」は11.6%にとどまっているのです。

この場合の非正規雇用とは派遣のみを指しているわけではありませんのでアルバイトなども含まれるかもしれませんが派遣もその一つとして同様に勤務時間が一番の理由として選ばれている可能性が高いと言えます。

プライベートを重視したい方には特にメリットの大きい働き方と言えますね。実際、介護や子育てとの両立を考えて派遣での働き方を選ばれる方は少なくありません。

2.大手企業で働ける

正社員として就職するのが難しい名だたる大手企業では派遣を使うケースが非常に多いのです。多くの派遣会社で様々な大手企業の求人を数多く紹介しています。大手企業に就業すれば次に別の会社に移るとしても経歴に箔をつけることもできますし、単純に大手のやり方を学んだり、自分のスキルを上げられたりもします。

更に4月からの派遣法改正により同一労働同一賃金の考え方が適用されます。つまり派遣先企業の同じ仕事をする正社員との賃金や待遇の格差をなくすための方策が明確にとられるのです。そういった面でも大手企業で働くことは自分にとってもプラスになることが多いと考えられます。

3.仕事内容を選べる

派遣ではやりたい仕事を選ぶことができます。もちろん自分がその職種の業務を遂行するためのスキルがある、もしくは付けられる前提ではありますが、自分の目的やキャリアプランに応じて仕事を選ぶ余地があることは間違いありません。

エンジニアさんで多いのは「こういった案件をやりたい」「こんなスキルをつけたい」というものですがそういった希望に応じた案件を紹介してもらうことができます

また、案件内容だけでなく、どの程度の期間その会社で働くかも決められます。もちろん1回ごとに締結する契約期間は守っていただく必要はあります。ただ、例えば半年後に海外旅行に行きたいから半年だけ仕事をする、ということもです。以前3か月~半年しか一つの案件に携わらないというこだわりを持っている方もいました。このため1社ずつの経験はかなり短期間で、様々な案件を短期間で経験するというのはむしろかなり大変なことなのではないかと思うのですが、非常にスキルが高い方で惜しまれつつ当初の予定通りの短期間の契約で終了していくという方でした。

それに人間関係の関わりなどでも選ぶこともできます。例えばみんなで仲良く和気あいあいとした雰囲気の会社で働きたいとか、逆に就業終了後の付き合いは一切なく極力人と関わらずに過ごしたいということであればそういう会社で働くことも可能です。

しがらみがないからこそ期間で切ることができる派遣を選ぶ方も少なくありません。

補足ですが、もしも本当は正社員で働きたいけれどなかなか面接がうまくいかずに正社員になれない人がいるとしたら、派遣には紹介予定派遣というものがあります。これは直接雇用を前提とした派遣です。敢えて直接雇用と書いたのはこの契約の場合正社員に限らず契約社員でもアルバイトでも良いので念のためそう書いています。

ですが、実際に派遣から正社員になる人は少なからずいますのでそういった制度を利用するのも良いかと思います。

もしどんな案件があるのか知りたかったら検索しても出てはきますが、社名非公開の会社も多いですので一度登録して電話などでお話したほうがより正確な情報をもらえるのでまずは一社登録してみてはいかがでしょうか。

派遣で働くデメリット

デメリットは2点あります。

  • 契約が終了になるリスク

これは言わずもがなですが、期間が決まっていることはメリットでもある反面、長く安定して同じ会社で働きたい人にとってはデメリットでもあります。一般的には3か月ごとの契約で更新していくというパターンが多いですが派遣先企業の都合でいきなり今回の契約で終了ということもなくはないのです。

ただ、もちろん急に今日で来なくて良い、ということはありません。(正確に言うとそれもゼロではありませんが、その後の契約期間については休業手当の支払いが発生します。)基本的には契約期間ごとの終了且つ1か月前までに告知が必須となりますので実際に仕事がなくなるまでにはある程度の準備期間があります。

問題なく仕事をしていてきちんとした評価を受けている人であれば社会情勢的にリーマンショックのようなことがない限り1か月あれば次の新しい仕事が見つかりますのでその点は不安に思わなくて大丈夫かと思います。

ただし、向こうから突然契約終了を言い渡されたからと言って、それこそ勝手に次の日から来なくなるとか仕事に手を抜くとかは絶対にやめた方が良いです。契約を正しくまっとうできなければ本来なら損害賠償ものです。良い仕事が紹介されなくなってしまいますので自分のためにもしっかり契約を守ることをお勧めします。

  • 成長できないリスク

正社員未経験、もしくは働いても小規模の企業で且つ非常に短期間で辞めてずっと派遣で働いているという方によくあるのがビジネスマナーの欠如です。

派遣を含めた非正規雇用で働く人に対して教育を実施している会社は多くはありません。

平成30年度に厚生労働省が実施した能力開発基本調査では(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/104-30b.pdf)以下のような結果が出ています。

正社員または正社員以外に対して平成29年度にOFF-JTを実施した事業所は 77.2%であり、その内訳を見ると、正社員と正社員以外の両方に対してOFF-JT を実施した事業所は35.4%、正社員のみに対してOFF-JTを実施した事業所は 40.2%、正社員以外に対してのみOFF-JTを実施した事業所は1.6%であった。

正社員または正社員以外に対して平成29年度に計画的なOJTを実施した事業 所は65.3%であり、その内訳を見ると、正社員と正社員以外の両方に対して計画的な OJTを実施した事業所は23.4%、正社員のみに対して計画的なOJTを実施した事 業所は39.4%、正社員以外のみに対して計画的OJTを実施した事業所は 2.5%であり、 正社員のみに対して計画的なOJTを実施する企業が多い。

つまりOff-JTについては正社員に対して実施している企業が75.6%あるのに対し、正社員以外に対して実施している企業は37%にとどまっており、計画的なOJTを正社員に対して行っている企業は62.8%あるのに対し、正社員以外に対して行っている企業は25.9%しかないということです。

今後は派遣法改正により、派遣についてはこういった教育の差はなくなっていくかもしれませんがやはり自分で意識して様々なスキルを身に着けていかなければビジネスマナーがなっていなくて仕事がうまくいかないということも起こり得ることは理解しておいていただきたいと思います。

また、派遣会社によってはスキルアップのためのサポートや補助金の制度があるところもありますのでそういったサービスの面もご確認いただくのが良いでしょう。

まとめ

以上が派遣で働くメリットとデメリットになります。ただ、この2つのデメリットは完全になくすことはできませんが小さくすることはできます。そのために大事なことは3点です。①契約を守ること②自分のキャリアプランを考え必要なスキルは自分で身に着けるようにすること③派遣元(派遣会社)の担当者ときちんとコミュニケーションをとることです。

①世の中には残念ながら契約で3か月間と期間を決めていても急に来なくなる方や一方的にやめてしまう方が少なからずいます。派遣は責任を持たなくていいと勘違いしているからではないかと思います。でも派遣だろうと何だろうと契約したことに対しては責任が発生します。「責任がない」というのは敢えて言うなら契約以上の時間働かければいけない責任や、成果物を担保する責任がないというだけです。しっかり契約を守っていれば必ず次の仕事に繋がっていったりしますし、ちゃんと働いている人には派遣先の会社でも目をかけてもらえたりします。これは自分の首を絞めるだけなので契約期間は絶対に守るようにしてください。

②自分のキャリアプランは一人で考えなくても派遣会社の人に相談しながら、今後必要なスキルや今どんなスキルの案件が多いか、時給の高い案件ではどんなスキルが求められているのか、などを参考に着けたいスキルを考えていくのが良いかと思います。

③そして担当者としっかりコミュニケーションをとることは無意味と思っている人も多いですが実はとても重要です。営業担当はその1社だけ担当しているわけではありません。ほかにもたくさん会社を担当していますし、その会社のことを1番良く知っているのは営業担当です。自分がどういうところで働きたいとか、何をしたいとか今就業中の会社のこととかをしっかり話しておけば必ず次につなげてくれます。もちろん何か就業に関する悩みがあれば相談にも乗ってくれます。営業担当は企業のことしか考えていないと思っている人も多いですが、ちゃんとした派遣会社の営業担当はスタッフとして働いている方のことも考えてくれますので、そういう会社を探すことをおすすめします。もし派遣に興味があったらまずは登録してどんな仕事があるか紹介してもらってみるのも良いと思います。

また、派遣社員で働くことに比べたら契約社員で働いた方が良いという方もいらっしゃいますが、私個人の考えとしては契約社員で働くよりも派遣社員として働く方がお勧めです。なぜなら契約社員は派遣社員と同じデメリットはあるのにメリットがないからです。仮に本当は正社員になりたくて、その会社が契約社員からの登用制度があって実績も十分にあるというなら契約社員でも良いと思います。ただ正社員への登用制度はあると言っても実績は少ない会社も多いですので制度よりも実績を確認したほうが良いかと思います。

ぜひ派遣のメリットを最大限生かしてそれぞれのライフスタイルに合ったより良い働き方ができることを祈っています。

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