IT土方~長時間労働なのに低収入~から抜け出す!

皆さまはIT土方(デジタル土方という呼び名もあります)という言葉をご存じでしょうか。今まさにIT土方として働いている皆さまの中には、夢や希望をもってエンジニアになったのに、こんなはずじゃなかったと思っている人もいるかもしれません。

IT土方とは一言で言えば作業系プログラマーのことです。

ただのプログラマーではありません。作業的にただひたすらプログラムを書くプログラマーのことを指します。

なぜITエンジニアなのに土方と呼ばれるのか、IT土方の状態から抜け出すにはどうしたら良いのかということについてこの記事では解説していきます。

なぜIT土方と呼ばれるのか。

一見関係がないようなITエンジニアと土方という言葉がなぜ結びついたのでしょうか。

その理由の一つ目はIT業界の構造と建築業界の構造が似ているという点にあります。

IT業界、特にSIerは大規模プロジェクトを受注すると(元請け・1次請け)下請けの会社に委託(2次請け)、そしてその下請けの会社はさらに下請けの会社に委託(3次請け)そしてその会社は…というようにピラミッド的にどんどん下の会社下の会社にと仕事が流れてくるのです。建築業界も同じようにピラミッド構造になっています。

そして理由の二つ目はその仕事の仕方です。

上記のようなピラミッド構造ですと末端の会社に来る頃にはシステムの全体像も見えず、一人一人のエンジニアの仕事となるとSEなどから指示された通りのプログラムコードをただただ打ち込むだけという状態になるのです。

更に末端の会社に来るまでに数社を経てきていれば当然発注からの時間も経っているわけで、そうなると当然末端の会社が仕上げなければならない納期は短いわけで、結局その会社のエンジニアは何も考えずただひたすらにコードを打つほかないということになります。

そして納期も短いから深夜残業をしたり徹夜作業になったりと肉体的にも精神的にも大変な労働を強いられていると言えます。

いわゆるデスマーチというのもこう言った理由から起こっているのです。

更にピラミッド構造の上位の会社にいるプログラマーと末端の会社にいるプログラマーでは同じプログラマーなのに給料の格差はかなりあるのも現状です。なぜなら下流の会社に流れるにつれて委託費用が安くなっていくからです。つまり、発注元があるシステムを80万円で依頼したとします。一次請けの会社A社がほぼ発注元そのままの依頼を二次請けの会社B社に再委託するとします。しかしそこで企画費用として例えば10万円抜いてB社には70万円で発注することになるのです。B社では「請けたものの今は人員が割けない」となれば当然そのままの依頼を三次請けのC社に発注します。しかしやっぱりそこでも基本設計費などの名目でまた10万円抜いて60万円で発注することになります。

もう仕組みはわかりますね。本来なら80万円の金額で開発されるべきシステムが実際は60万円、もしさらに下請けに出されるならもっと安い金額で開発されることになるのです。

そうなると当然末端に行けば行くほど社員一人当たりに割り振られる賃金は安くなるのです。

このため多重請負構造の末端にいる会社は長時間労働なのに年収は低いブラック企業と呼ばれるようになるのです。

以上のような業界の構造と働き方から、多重請負の末端もしくは末端に近い会社のプログラマーはIT土方と呼ばれるようになりました。

IT土方の状態から抜け出すにはどうしたら良いのか。

ここでは肝心のIT土方からの抜け出し方について解説していきます。

そもそも多重請負構造はなくならないのか。

IT業界の多重請負構造はかなり以前からありますが、なぜできたのかと言えばやはりそうする必要があったからにほかなりません。つまり前述のような状態からIT業界の多重請負構造=悪とする意見も多いのですが、必ずしも悪ではないことは理解しておいてほしいと思います。

SIerではプロジェクトがあるときとないときの繁閑の差が激しい場合があります。またそのプロジェクトの規模によっても必要な人員に大きな差がでるのです。例えばA社が大きなプロジェクトを受注したとして、その時に会社にいる人員では対応できない場合があります。そうすると開発の一部を下請けの会社にお願いしてやってもらうということでカバーできるようになるのです。大きなプロジェクトを受注するために必要な人員を常に置いていたら会社自体が赤字になってしまったり、人員がダブついて仕事がない人が出てしまったりとても得策とは言えないことは明白ですね。

もちろんそのために派遣サービスを使って下請けに出さずに自社内で完結するということもあります。しかし、結局それも規模によってしまうのです。一人や二人増員すれば済む話なら派遣や業務委託で常駐してもらって自社内で完結ということもできます。しかし大人数が必要になるような場合は下請けに出してやってもらう方が圧倒的に効率が良いということになります。なのでこれがしっかり機能すれば下請け構造自体は必要不可欠なものであることは言うまでもありません。問題は必要以上に重構造になってしまっている点です。つまり中には自社では何もせずに受注額からマージンだけ抜いてさらに下請けに出すという中間搾取のみやっている会社もあります。こういった会社は除いて契約をしていくという意識はIT業界全体でもっていかなければいけないと思います。

とはいえ下請けの会社はいつまでも下請けという立場は嫌なのでは?という疑問もあるかと思います。

しかし、下請けの側でも大手SIerとコネクションをもっておけば営業に苦労することなく案件を受注できるので、言ってしまえば「楽」なのです。

営業力のない会社はもう下請けから抜け出すことはできないと言っても過言ではありません。

それではIT土方の状態から抜け出したい人はどうしたら良いのでしょうか。

自分でIT土方から抜け出す方法。

IT土方から抜け出したい方はぜひ少しでも早く実行に移すことをお勧めします。

会社を変えられないのであれば自分を変えるしか方法はないのです。

転職

一番早く且つ確実に抜け出す方法は転職です。

今、転職するには絶好のタイミングです。求人情報・転職サイトのdodaによると2019年10月の転職求人倍率は全体で2.52倍なのに対してIT・通信は、なんと7.05倍と圧倒的に求人数が多い状況なのです。(doda: https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu

更にIT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果では以下のように記載があります。

2010年代の後半から2020年にかけて、産業界では大型のIT関連投資が続くことや、昨今の情報セキュリティ等に対するニーズの増大により、IT人材の不足が改めて課題となっている。また、ビッグデータ、IoT等の新しい技術やサービスの登場により、今後ますますIT利活用の高度化・多様化が 進展することが予想され、中長期的にもITに対する需要は引き続き増加する可能性が高いと見込まれる。 しかし、我が国の人口減少に伴い、労働人口(特に若年人口)が減少することから、今後、IT人材の獲得は現在以上に難しくなると考えられる。このように、IT需要の拡大にもかかわらず、国内の人材供給力が低下することから、IT人材不足は今後より一層深刻化する可能性が高い。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/27FY/ITjinzai_report_summary.pdf

ここで述べられているIT人材は先端IT技術に対応できる人材も含まれていますが、いずれにしてもIT人材の枯渇は未だ拭えない状況です。

同資料では以下のような数字も出ています。

マクロ推計によれば、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しているという結果になった。さらに、前頁で示されたとおり、今後IT人材の供給力 が低下するにもかかわらず、ITニーズの拡大によってIT市場は今後も拡大を続けることが見込まれるため、IT人材不足は今後ますます深刻化し、 2030年には、(中位シナリオの場合で)約59万人程度まで人材の不足規模が拡大するとの推計結果が得られた。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/27FY/ITjinzai_report_summary.pdf

上記のことからかなりエンジニア不足が続いていること、それにより求人が多いことは明白です。

※転職活動の注意点

長らく多重請負構造の末端でIT土方として働いていると、面接がうまくできないという状態になっていることがあります。これは普段からあまりコミュニケーションをとることを求められないためうまく喋る練習ができていないためです。

面接に自信がない方はぜひ一度専門の面接対策などをやっている機関に相談に行っていただきたいと思います。転職エージェントで相談しても良いですし、例えば東京仕事センター(https://www.tokyoshigoto.jp/)のような各都道府県で用意している機関を使っても良いかと思います。

因みに東京仕事センターでは平日だけでなく土曜日も空いていて、就職支援セミナーや面接力アップセミナーなどを開催しています。それだけでなくキャリアコンサルタントが常駐していて1対1でカウンセリングを受けることもできます。そのカウンセリングの中で面接のポイントを教えてもらえたり、模擬面接として練習したりすることもできます。

転職活動を考えている方は闇雲に書類を出す前にぜひこういったところを利用して準備をしてから活動を始めてください。もし一度受けて落ちてしまったらその会社をまたすぐ受けるということはできずみすみす選択肢を狭める結果になりかねないためです。

派遣で働く

とはいえ転職活動はなかなか難しい、自信がないと思っているような方は派遣で働くことをお勧めします。なぜ派遣が良いのかというと仕事が決まりやすく大手にも入りやすいからです。

まず求人数が多いことは1でも述べた通りです。人手が足りないので多くの企業で正社員とともに派遣の募集もしています。そして派遣なら事業会社での募集もあるし、大手SIerでの募集もあります。

間違っても「なんだ、派遣か~」とは思わないでください。

派遣で働くことを決めた時、大切なのは仕事が決まってからどう働くかです。

今の働き方から抜け出したいと思っているあなたにとってはとても重要なので声(文字)を大にして伝えます。派遣は仕事が決まってからどう働くかが大切です。

今までのIT土方としての働き方のままであってはいけません。まずは自分の意識と仕事の仕方を変えることを肝に銘じておいてください。

なぜなら、派遣は実は道を切り開きやすい形態でもあるからです。

派遣社員と侮るなかれ、実際は入った会社でとても評価されたり開発をする上での重要なポジションに配置されたりしてそのまま派遣された会社の正社員として登用されるケースは多いのです。もしくは派遣会社の正社員として雇用されるというケースもあります。もし正社員として登用されなくても派遣先企業からの評価が高い方は次の仕事もより良いところが紹介されます。派遣会社に正社員登用の実績がある会社をなるべく紹介してほしいと言ってみても良いかもしれません。

しかし、何度も言いますが、それはあなたの働き方次第でもあります。道を切り開くためには自分自身でがんばって評価されるようにならなければいけないからです。

IT土方として働く人がなぜそう呼ばれるかはすでに書いた通りですが、これまでの仕事は特に自分で考えることなく指示された通りのコードをひたすら書いてきたと思います。しかしこれからはそれだけではなく、考えて動くことや積極的に仕事に取り組むなどの姿勢と実際のプログラミングのスキルなどが問われてきます。

よく派遣で働いている人からの相談で多いのは「今までの仕事よりも大変なことを要望されているのだから時給をあげてほしい」という内容です。

でも勘違いしないでほしいのは仕事内容が変わったから時給をあげるのではなく、その仕事の対応スキルがあがったから時給があがるのです。時給は仕事の後からついてきます。

もちろん仕事内容が変わるのが、あなたがすでに評価をされた結果なのであればそのタイミングでの時給交渉は可能です。

もし派遣でそのまま働くとしても評価が高ければ時給もあがるし希望の企業で働きやすいことは間違いありません。

派遣で働く場合はぜひ自分の働き方を考えてみてくださいね。

フリーランスで働く

実はIT土方の方にはあまりお勧めできないのですがフリーランスで働くという方法もあります。この場合は在宅で仕事を受けるクラウドソーシングよりも常駐型フリーランスが良いかと思います。

常駐型フリーランスであれば実際の働き方は派遣とあまり変わりませんのでその先を考えるのであればお伝えしたいことは派遣の項目で書いたことと同じです。

フリーランスで働くメリットは何と言っても案件単価が高いことでしょう。

しかし派遣と違うデメリットは成果物の納品に対して報酬が発生することと同じ報酬額でも就業時間に幅が出ること、そして税金などの対応は自信で行わないといけないということでしょう。

まず1点目ですが、派遣は労働力の提供が趣旨ですので時間できっちり賃金が支払われます。しかしフリーランス(業務委託)は納品物に対して報酬が支払われますのでスキルが求められる案件も多いのが現状です。

2点目の就業時間の幅については、派遣は上述の通り時間で賃金が支払われるため残業すれば残業代が必ずつきます。しかし業務委託では通常140時間~180時間で月額いくら、という契約です。つまり同じ額でもスキルが高ければ140時間勤務で良いものを、スキルが低ければ180時間必要になってしまうということです。結果時給にするとあまり派遣で働くのと変わらないか少なくなるということもあります。

3点目は社会保険や年末調整(確定申告)など雇用されていれば会社がやってくれるような事務手続きについてです。派遣であれば派遣会社に雇用されますので派遣会社がやってくれます。しかしフリーランスは会社に雇用されませんので自分でやるしかないのです。フリーランスの方も仕事を紹介してくれるエージェントがありますが、これはあくまで営業代理店と思ってください。雇用元ではありませんので注意が必要です。

そういったことを考えると派遣で働く方が働きやすいと思いますのでフリーランスはあまりおすすめはしていません。しかし、もちろん自分はスキルがあるという方などご本人の状況によって違います。メリットが大きいと思われる方はぜひご検討に入れていただければと思います。

まとめ

いかがでしょうか。

この記事を読んでくださっている方は今の自分の働き方に悩んでそれを変えたいと思っている方だと思います。過酷な環境を経験された方もいるかもしれません。

まずは今までよく頑張っていらっしゃったと思います。これだけ頑張ってこられたのですから必ず何か身についていることや今後の仕事で活かせるスキルも培っていると思います。

ぜひこの機会に一度自分自身を振り返っていただき、自分を誉めていただきたいと思います。

一度入社してしまった会社を辞めることやもし会社を変えようとするならそれは簡単ではないかもしれませんがご自身の人生をどう生きるかを含めて考えてください。

本当に今の状況から脱出したいと思っているならきっとできると思います。

もしまずはいろいろ情報を知りたいという方は転職エージェントや派遣会社に登録してみるのも良いかもしれません。Webでもいろいろな案件の検索もできますが、登録すればご自身の市場価値や募集のある仕事の詳細な業務内容なども教えてもらえるのでより今後どう動くべきか明確になると思います。

そしてこの記事が次につながる第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

より良い仕事と人生への希望を叶えていただくことを祈っています。

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