今回の目次
コミュ力を上げたいSE・プログラマーに向けたNLP講座①
IT業界で働くSEやプログラマーの皆さんは、1日の大半をPCとにらめっこしながら作業していることかと思います。日によっては、発した言葉が職場の同僚との挨拶だけだった・・というようなこともあるのではないでしょうか。このような環境では、もともとどんなに社交的で明るい人だって、コミュニケーション能力の低下は免れません。
また、ITエンジニアに対する評価基準として、スキルはもちろんのこと、コミュニケーション能力を重要視する企業が多くなっているのも事実です。
そんなジレンマに苦しむSEやプログラマーの皆さんのために、コミュ力アップの一つの方法として、NLPというものを簡単に紹介していこうと思います。今回はステップ①と称して、NLPにおいてまずはじめに重要とされる、人の心を開くためのポイントを大きく3つに分けて説明していきたいと思います。
NLPとは??
NLPとは、Neuro-Linguistic Programmingの略で、「神経言語プログラミング」と訳されます。1970年代にリチャード・パンドラーとジョン・グリンダーの2人によって創始されたものです。2人は、当時の心理療法界において、劇的に成果を上げていたある3人の心理療法家の研究を通じて、共通する多くの事項を見つけました。それらの研究を言葉の使い方など、誰でも使えるように体系化したものがNLPです。現在では心理療法の場面だけでなく、日常生活や仕事の場面などで使われるようになりました。米国大統領、プロスポーツ選手、経営者と言った人たちもNLPを活用して成果を上げています。
NLPについて興味を持たれた方は専門の本やセミナーなどが数多く存在していますのでそちらを参考にしてみてください。ここでは語り尽くせないほどの研究が今なお続いていて、発展を続けています。
人の心を開くための3つのポイント
1、ラポール
ラポールとは、NLPに置いて、相手が心を開いている状態、信頼感や安心感のある打ち解けた状態のことを指します。NLPでは、この状態に相手との関係を持っていくことが重要な第一のステップとしています。
例えば、皆さんは誰かと話していて、「正しいことを言っているのに響いてないな。」とか、「これほど熱意を持って伝えているのに、なぜ伝わらないんだ?」などと感じたことはありませんか?それは相手との間に信頼関係(ラポール)が築かれていないことが原因として考えられます。コミュニケーションにおいて、相手に何か働きかけるには、まず、相手が自分に対して心を開いている必要があるのです。人の心は熱意だけでは動きませんし、理屈だけでも動かないものです。人の心が動くには、まず、ベースとなるラポールが必要なのです。
ラポールを築くための技術
①バックトラック
バックトラックとは、簡単に言うと、相手のことばをおうむ返しするテクニックです。これによって、「話し上手」よりも「聞き上手」になることができます。例えば、皆さんは、相手の話を聞いていて、悪気はなくても反対の意見を言ってしまったり、適当な返事をしてしまったりして、その場がギクシャクしてしまったことはないでしょうか。人は誰でも、自分のことをわかってもらったり、自分のことを重要だと感じてもらいたいと思っているものです。そして、自分の話を聴いてもらうことで、この気持ちは満たされるのです。
○バックトラック、3つの方法
・直前の語尾を返す
・要約する
・キーワードを返す
バックトラックは、接客の場面など、相手の話しを聴くことが重要な時に効果的ですが、過度にやりすぎるとかえってわざとらしくなるので注意が必要です。特に親密な間柄でのバックトラックはかえって不自然だったりするので、その時々のシチュエーションに応じて、柔軟に使い分けることが肝心です。
②ミラーリング
ミラーリングとは、姿勢などの身体の動きを、相手に合わせるテクニックです。
例えば、背筋がまっすぐ伸びているか、猫背ぎみになっているか。イスに深く座っているか、浅く座っているか。その時手はどのような状態になっているか。うなずいたり首をかしげたりするタイミングはいつか、また、その深さはどうか。などなど・・・
このような動作をよくよく観察して、相手に合わせていきます。人間の無意識下の動作を合わせることによって、効果的にラポールを築くことができます。
しかし、バックトラックと一緒で、ミラーリングもやりすぎてしまうとバカにされていると感じられてしまう可能性があるので注意が必要です。
2、キャリブレーション
相手とのラポールが築けているのか確認するためには、キャリブレーションが有効です。
キャリブレーションとは、相手の非言語の情報すべてをよく観察することで、その人の状態を見極めることです。非言語、などというと少し難しそうに感じますが、キャリブレーションは誰もが日常的に行っていたりします。普段と比べて顔色が悪そうな人を見て「大丈夫ですか?」と声をかけたり、話し方をみて嘘っぽいなと気付いたりすることもキャリブレーションの一種です。
人間は、言語の情報は意識下にあることが多いですが、非言語の情報はほとんどが無意識下で起こることがほとんどです。つまり、非言語の情報の方がその人の本当の状態を表していると言えるのです。手がかりは人によって様々ですが、相手の非言語の情報をよく観察し、本当の状態を見極めるスキルがキャリブレーションです。
3、リーディング
上記のような様々なスキルを使って、相手とラポールの状態が築けたと思ったら、初めて自分でコミュミケーションの方向性を導いていきましょう。これをリーディングといいます。
この時、相手がまた心を閉ざしてしまうような表情やしぐさをした場合、またラポールを築くステップに戻りましょう。
まとめ
人の心を開かせるには、様々なスキルを駆使してラポールの状態を築いていき、その都度キャリブレーションをして見極めていきなから、リーディングしていく、という流れの繰り返しです。この際、注意して欲しいのは、人の気持ちを恣意的にコントロールしようと思わないことです。あくまで、相手との関係性をより望ましい状態に持って行くんだ、というような意識で今回紹介したようなスキルを使うことが重要です。
NLP講座②に続きます・・・。