独立してフリーランスになると、事業の取引などを自分で会計し、確定申告を行う必要があります。個人事業主の確定申告のやり方には大きく分けて青色申告と白色申告があります。今回は、税金上メリットの大きい青色申告のメリット・デメリットをできるだけ簡単にわかりやすく紹介したいと思います。
今回の目次
○青色申告とは?
青色申告と白色申告
簡単に言うと、文字に文字に手間がかかる分、払う税金が安くなるのが青色申告。手間が省ける分、払う税金も高くなってしまうのが白色申告です。また例外として、青色申告で申請して、帳簿のつけ方を簡単な方でつける方法もあります。この場合、10万円の控除が得られます。違いを分かりやすく表にまとめると次のようになります。
青色申告
(65万円控除) |
青色申告
(10万円控除) |
白色申告 | |
事前届出 | 必要 | 必要 | 不要 |
帳簿の作成 | 必要(複式簿記) | 必要(単式簿記) | 必要(単式簿記) |
確定申告の際の
作成書類 |
所得税青色申告決算書
確定申告書 |
同左 | 収支内訳書
確定申告書 |
節税の
メリット |
様々なメリットあり
65万円控除 |
様々なメリットあり
10万円控除 |
ほとんどなし |
青色申告で10万円控除を選ぶ方はあまりいません。せっかく青色で申請したのに65万円の控除が得られないのはもったいないですよね。
○青色申告のメリット
青色申告には65万円の控除を受けられるほかに様々なメリットがあります。
1,赤字を3年間にわたり繰り越せる
その年の収支がマイナスであった時などは、青色申告をしていれば向こう3年以内の所得にそれを差し引くことができます。
例えば、2013年 100万円赤字
2014年 100万円赤字
2015年 100万円赤字
2016年 300万円黒字
というような場合、2016年の所得から3年前までの赤字を差し引いて課税所得をゼロにすることができます。
2,家族への給与を全額経費にできる。
青色申告では、家族に対する給与を全額経費として認められます。これを「青色専従者給与」と言います。白色申告の場合にも、専従者控除として、配偶者で最大86万、その他親族において最大50万円の控除が認められますが、青色だと制限なく経費にすることができます。
ただし、以下の条件を満たしている必要があります
・事前に届出が必要です
・生計をひとつにしている配偶者や親族であること
・年齢が15歳以上であること
・目安として、1日6時間以上、年間で6ヶ月以上の日数、事業主の事業のために費やすこと
3,30万円未満の減価償却費を全額経費にできる
通常、パソコンやオフィス家具など事業に関わる出費が10万円以上したとき、その金額を耐用年数で割った額しか経費として落とせません。(詳しくは必見!!フリーランスと経費のキホンを参考にしてください。)しかし青色申告者においては30万円未満まで一括して取得した年の経費として認められます。
○青色申告のデメリット
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帳簿のつけ方が面倒
青色申告で65万円の控除を受けたい場合、帳簿のつけ方を複式簿記にする必要があります。複式簿記は単式簿記に比べると少し複雑で面倒です。しかし、現在では様々な会計ソフトがありますので、その差は小さくなっていると言えるでしょう。
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事前届けが必要
ちょっと面倒臭いですが、青色申告者となるには、青色申告をしたい年の前年の3月15日までに税務署に申請をしなければなりません。つまり、来年2017年から青色申告したい、という方は今年2016年の3月15日までに申請しなければならず、現時点ではもう間に合いません。但しこれには例外があって、開業したての場合、開業してから2ヶ月以内に申請すれば、その年から青色申告を始めることができます。この時、提出する書類は「所得税の青色申告承認申請書」と言います。
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手間と時間がかかる
当たり前のことですが、青色申告は白色申告に比べると余計な業務に手間と時間をとられることとなります。それに、複式簿記での申告は、初心者の状態で挑んでもミスが発生してしまい、追微課税がかかってしまう可能性も出てきます。慣れるまで白色申告か10万円控除の方の青色申告にする、というのも一つの手です。
まとめ
簡単に青色申告のメリット・デメリットを紹介してきました。通して確実に言えることは節税上、複式簿記による青色申告がダンゼン有利だということです。はじめは面倒に思えていた作業も一年分の申告が終われば慣れてしまう、ということも考えられます。ぜひトライすることをオススメします。どうしても無駄な業務に時間をとられたくない、という方には税理士さんにお願いする、というのも一つの手です。青色申告によって得られる税金上のメリットは、税理士さんの力を借りてでも得る価値のあるものです。自分にあったスタイルで、払う必要のない無駄な税金を少しでも減らしていきましょう。